熱に強いプラスチック素材は何ですか?
熱に強いプラスチックといっても、温度や使用環境下によって適する素材選びをする必要があります。
ポイントは温度、環境の2点になります。
どの様ような温度下で使用するのか?
使用するプラスチックパーツをどのような温度下で使用するのかによっても素材の選び方が変わってきます。
車のヘッドランプのように最高でも100度を超えないようなものに、耐熱温度300度までクリアする素材を使っては無駄なコストが掛かってしまいます。
逆に、150度位の想定温度に対して、100度までしか耐えられない素材を使用してしまっては、パーツの役割を担うことはできません。
「どれ位の温度環境で使用するかによって、素材選びは変わってきます。」
どのような環境下で使用するのか?
熱に強い素材を使っても、屋外で使用するのかそれとも屋外で使用するのかで、耐候性の必要性が出てきます。
屋内で使用するのであれば、耐候性は必要ありません。屋内で使用するのに耐候性のある素材をしようしてしまうと、オーバースペックになりコストも上昇します。
屋外で使用するのであれば耐候性のある素材を使用しなければ、時間とともに劣化が進んでしまいます。
温度下同様「どのような環境下で使用するかによっても、素材選びは変わってきます。」
また、化学薬品の中で使用するのであれば、物性・外観の変化などに耐えられる耐薬品性も考えてた素材選びをしなければなりません。
熱に強いプラスチック素材はどのようなものがあるのか?
熱に強いプラスチック素材の分類として、
熱硬化性プラスチックと熱可塑性プラスチックの2種類があります。
熱硬化性プラスチックとは?
熱硬化性プラスチックは、一度、溶融すると再加熱しても溶融しないプラスチック素材全般を指します。
高い温にしても溶融しないため耐熱性に優れ、耐薬品性にも優れています。
熱硬化性素材(90℃~270℃)
UF(ユリア樹脂)
PF(フェノール樹脂)
MF(メラミン樹脂)
SI(シリコン樹脂)
EP(エホ゜キシ樹脂)
熱可塑性プラスチックとは?
熱可塑性プラスチックは、再加熱して再利用が可能なプラスチック素材全般を指します。
工業用部品や一般的な日用品に使われています。
熱変形温度によって、スーパーエンプラ、エンプラ、汎用プラスチックの3種類に分類できます。
スーパーエンプラ
スーパーエンプラ素材(150℃以上380℃)
PES(ポリエーテルサルフォン)
PEI(ホ゜リエーテルイミト゛)
PAI(ホ゜リアミト゛イミト゛)
PEEK(ホ゜リエーテルエーテルケトン)
PTFE(ホ゜リテトラフルオロエチレン)
PPS(ホ゜リフェニレンスルファイト゛)
エンプラ
エンプラ素材(100℃~150℃)
PC(ホ゜リカホ゛ネート)
PA(ホ゜リアミト゛)
PET(ホ゜リエチレンテレフタレート)
PBT(ホ゜リフ゛チレンテレフタレート)
POM(ホ゜リアセタール)
汎用プラスチック
汎用プラスチック素材(100℃以下)
耐熱温度
特に耐熱温度の高いプラスチック素材として、
熱可塑性樹脂(スーパーエンプラ素材)の中では
●PI(ポリイミド)耐熱温度:300℃以上
熱可塑性樹脂(エンプラ素材)の中では
●PBT(ポリブチレンテレフタレート)耐熱温度:150℃
熱可塑性樹脂(汎用プラスチック)の中では
●PP(ポリプロピレン)ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)耐熱温度:100℃
熱硬化性樹脂素材の中では
●PDAP(ジアリルフタレート)耐熱温度:耐熱温度:270℃
使用例
熱に強い樹脂製品は、例えば産業機器のギア、炉、車のヘッドランプなど様々なシーンにて使われています。
ただし、素材によっては難加工材とも言われるものもあり、会社さまによっては得意・不得意があったり、お断りをしているところもあるようです。弊社では長年のプラスチック加工で培った加工ノウハウを持っておりますので、どのような樹脂素材であっても加工が可能です。
弊社製作事例
どの素材がベストなのか?
冒頭でもお伝えした通り、使用する温度、環境によって素材選びは変わってきます。
お問い合わせいただければ、適切な素材のご提案も可能です。
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